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2010.04.14 Wednesday | - | - | -
虐待の家
虐待の家―義母は十五歳を餓死寸前まで追いつめた佐藤 万作子

単行本: 261ページ
出版社: 中央公論新社 (2007/11)
ISBN-10: 4120038858
ISBN-13: 978-4120038853
発売日: 2007/11


2003年11月大阪岸和田市で中学3年生の男の子が餓死寸前で病院に運ばれた。「しつけ」と称した虐待…暴力に加え食事を与えない日々が彼を24キロという体重までに痩せ衰えさせた。逮捕されたのは両親。全体像ではなくとくに義母佳奈子との3年に及ぶ交流から事件はなぜ起きたのかを分析したルポ。被害者である少年から話を聞くことはできないので彼の心は計り知れない。海野(父親)の実子2人の義母となった当初佳奈子は「私が笑顔にしてあげたい」と張り切っていたが気持ちばかりが空回りし少しずつずれが生じる。経済的困窮、子育てに無関心な海野への不満、いい母親にならなければと「しつけ」は「虐待」へとなっていった。自力で食事することも歩くこともできなくなるまで彼はなぜ逃げ出さなかったのだろうか。彼の父に対する執着が哀しく心に残る。
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2008.02.12 Tuesday | [サ行]その他 | comments(0) | trackbacks(0)
私の男
私の男桜庭 一樹

単行本: 381ページ
出版社: 文藝春秋 (2007/10)
ISBN-10: 4163264302
ISBN-13: 978-4163264301
発売日: 2007/10


先日直木賞を受賞した作品。物語は6章で1章ごと時間が逆行して花と淳悟の過去に遡ります。読み終わったあとまた始めから読みたくなるのは、2人の過ごした年月を知り歪んだ関係への嫌悪感が薄れてくるからなのか…。9歳の花は奥尻島で震災にあい家族をなくす。引き取り育ててくれたのは親戚だという25歳の青年淳悟。そう養父である彼が「私の男」。2人だけにしか理解できないであろうこの日々…淳悟のアンバランスな魅力と花の潜在的な母性に深く引き込まれてしまいます。
2008.01.31 Thursday | [サ行]その他 | comments(2) | trackbacks(0)
遺言―桶川ストーカー殺人事件の深層
遺言―桶川ストーカー殺人事件の深層清水 潔

単行本: 284ページ
出版社: 新潮社 (2000/10)
ISBN-10: 4104405019
ISBN-13: 978-4104405015
発売日: 2000/10

まずは詩織さんのご冥福を心よりお祈りします。
通学途中の女子大生猪野詩織さんがJR桶川駅前で何者かに刺されたというあまりにも有名な殺人事件。執拗なストーカー行為を受けいていた詩織さんが意を決し警察に助けを求めたにも関わらず悲劇は起きてしまったのです。彼女の残した悲痛な叫びである『遺書』を辿り、週刊誌記者である清水さんが執念の取材をされた全てがこの作品となっています。詩織さんはなぜ無念の死を遂げなければならなかったのか…清水さんの熱い思いに最後まで涙が止まりませんでした。怠慢捜査で起こった事件を更に隠蔽しようとする警察、異常なストーキング行為を続けお金で殺人を依頼するクズ人間…虫唾が走る。やりきれない思いが読後も重くのしかかってます。詩織さんや詩織さんのご両親・お友達の思いを少しでも多くの方に知って欲しいと思います。そして警察のふざけた対応に怒りを覚えてください。とにかく風化させたくないという気持ちでいっぱい…もっと早く読むべきでした。とても読ませるチカラのある本…オススメです。清水さん自身のペット兼家族であるハムスター「のすけ」がしばしば登場するのですが「のすけ」への思いがまた作者の人柄をうかがわせます。shortさんのBLOGを拝見してこの本に出会えました…ありがとう。
2007.11.15 Thursday | [サ行]その他 | comments(0) | trackbacks(0)
音羽幼女殺害事件−山田みつ子の「心の闇」−
音羽幼女殺害事件―山田みつ子の「心の闇」佐木 隆三

単行本: 255ページ
出版社: 青春出版社 (2001/12)
ISBN-10: 441303306X
ISBN-13: 978-4413033060


母親と一緒に幼稚園に兄を迎えにきた2歳の若山春奈ちゃんが護国寺境内にある音羽幼稚園裏の公衆トイレで殺害された事件。逮捕されたのは春奈ちゃんの兄と同じ幼稚園に通う男の子の母親。仲の良かったはずの母親同士にいったい何が起こったのか。「お受験殺人事件」などといってTVで連日報道された印象深い事件。犯人山田みつ子は、犯行3日目僧侶である夫に付き添われて自首。犯行状況はなんの罪もない春奈ちゃんの首を絞めるという目を覆いたくなるような内容。特に尋常ではないと思わされたのはこの場面。犯行直後、山田みつ子は自分の子供を自転車の前と後ろに乗せ、さらに春奈ちゃんの遺体を入れた黒いバッグを前カゴへ…。しかしバランスを崩してそのバッグを地面に落としてしまったとき、たまたま居合わせた春奈ちゃんの母親に「春ちゃん見なかった?」と尋ねられると、口元に笑みをつくって首を左右に振り知らないと伝えたらしい。バッグの中身がばれないようにと必死だったとはいえ、とても信じられないぞっとする行動。裁判が進むにつれ山田みつ子の生い立ちや彼女自身が精神的に問題があるということもわかってはくるものの、幼い子を持つ母親同士の人間関係の難しさが分かるだけにそれだけを切り取ってしまうことはできないようにも感じる。
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2007.09.16 Sunday | [サ行]その他 | comments(2) | trackbacks(1)
生協の白石さん
生協の白石さん白石 昌則

単行本: 149ページ
出版社: 講談社 (2005/11/3)
ISBN-10: 4062131676
ISBN-13: 978-4062131674



娘が大学生になったというのもあって今更ですが生協の白石さんを読みました。東京農工大学の大学生協で働く白石さんと学生さんとの心温まるやりとりは、お店に置いてあるひとことカードを介して行われます。学生さんの多岐にわたる質問にもひとつひとつ丁寧に回答する白石さん。その文面からは白石さんの温かいお人柄が十二分に伝わってきます。白石さんのセンスが伺えるステキな回答ばかりなのですがなかでも
◎愛は売っていないのですか…?
◎もういやだ死にたい
◎あなたを下さい。白石さん
に対する答えが特に好きです。ぜひ直接白石さんに触れてみてください♪
2007.06.11 Monday | [サ行]その他 | comments(0) | trackbacks(0)
佐賀のがばいばあちゃん
佐賀のがばいばあちゃん島田 洋七

文庫: 237ページ
出版社: 徳間書店 (2004/01)
ISBN-10: 4198920001
ISBN-13: 978-4198920005



たった8歳の昭広が広島のお母さんの元を離れ、中学卒業まで佐賀のばあちゃんの家に預けられる。がばいばあちゃんとのユーモアと工夫にあふれた「明るい貧乏生活」は少年昭広の心をとても豊かにしてくれたのです。漫才ブームでのB&Bの活躍をまともに見てきた世代です。島田洋七氏の子供時代がこんなだったとはビックリ。あの抱腹絶倒のマシンガントークのベースはがばいばあちゃんなんだーと納得。1時間ほどでサクッと読めるので一読の価値十分ありです。人としてイチバン大切なことは何かということを改めて考えてみるきっかけになりました。
本当の優しさとは、他人に気づかれずにやること。
肝に銘じました。
2007.04.29 Sunday | [サ行]その他 | comments(4) | trackbacks(0)
幼い娼婦だった私へ
幼い娼婦だった私へソマリー・マム

単行本: 222ページ
出版社: 文藝春秋 (2006/07)
ISBN-13: 978-4163664101
ASIN: 4163664106



幼いころから奴隷のように働かされ、おぞましいほどの暴力・レイプ・少女売買を体験してきたソマリー。現代において今もなおソマリーのように苦しめられている少女たちが存在するという信じられない現実。彼女たちを救うためアフェシップ(Afesip=困窮する女性たちのために行動する会)を立ち上げ少女売買の実態を告発し闘い続けるソマリーの叫びが綴られている。どうすると人はこんな酷いことができるのだろうか。慣習や迷信や貧困等々…少女たちは親の所有物として虐待され挙句の果てに買春宿に売られてしまう。耳を覆いたくなる少女たちの証言には耐えられず何度か本を閉じた。手を差し延べられ地獄から抜け出そうとするたびに裏切られまた失望するという日々。人の命があまりにも軽いのだ。それらすべてまかり通ってしまう衝撃。この本を通して「どこかの国で起こっている酷いこと」としてではなく勇気ある告発にしっかりと目を向けて現実を知って欲しいと思う。私たちは知らな過ぎる!しばらく引きずりそうだけど…勇敢なソマリーの存在を知ることができた。ソマリーに心静かな日々はやってくるのか…どうか1日も早くその日が訪れますように。翻訳に多少違和感を感じながら読了。
2007.01.06 Saturday | [サ行]その他 | comments(0) | trackbacks(0)
花のようなひと
花のようなひと佐藤 正午

単行本: 120ページ
出版社: 岩波書店 (2005/9/7)
ISBN-10: 4000244310
ISBN-13: 978-4000244312



銅版画家牛尾篤さんの挿画にひどく惹かれ手にしたら佐藤正午作品でした。なんと贅沢にも花にまつわる物語28篇に1枚づつのエッチング。微妙な色使いもとても味があります。そして物語の終わりのところにも「おしまい」とばかりに小さな挿絵…これも繊細でステキ。ひとつひとつ切り取って額に入れたい衝動に駆られます。これはもう牛尾さんの画集ですね。日常どこにでもある花が小さな物語になっています。私たちの生活に無言で存在する花たちを改めて意識しました。
2006.04.06 Thursday | [サ行]その他 | comments(0) | trackbacks(0)
セイジ
セイジ辻内 智貴

単行本: 185ページ
出版社: 筑摩書房 (2002/02)
ISBN-10: 4480803645
ISBN-13: 978-4480803641



純粋であるがゆえの不器用さ…オトコの物語「セイジ」と「竜二」の2篇。浮き草のように気ままに生きるセイジの本人にしかわからない悩みや苦しみ。そして繊細な心に一途な思いが静かに渦巻く独特の世界。大人の童話のような感じですね。足を踏み入れてはいけないところに入り込んでしまったようなそんな感覚が残りました。
2005.08.01 Monday | [サ行]その他 | comments(0) | trackbacks(0)