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2010.04.14 Wednesday | - | - | -
ほどけるとける
ほどけるとける大島 真寿美

単行本: 175ページ
出版社: 角川書店 (2006/07)
ISBN-13: 978-4048736961
ASIN: 4048736965



だいぶ短くってかなりユルユル。こんがらがった心の糸を少しずつほどいてゆく美和18歳の成長物語。高校を中退し祖父の経営する大和湯でふわふわバイト中。将来の夢なんて思いつかず人とのかかわりもわずらわしい。しかし番台に座っていると次第にいろんなものが見えてくる。来る人みんなが脱力している銭湯…異種多様な人々とのふれあいが美和の心を少しずつほぐしてゆくのです。なかでも私が好きだったのはゲーム好き弟智也とのやり取り。
姉ちゃん、悪いことは言わない、大和湯でバイトするくらになら、RPGやって知恵と勇気の使い方を学べ。

知恵と勇気。
知恵と勇気があれば、あの時べつの行動が可能だったのだろうか?
知恵はともかく、勇気がなかったのは確かだ。逃げ出したんだから。
(中略)
勇気と無鉄砲は似て非なるものなんじゃないか?無鉄砲。無鉄砲か。どうもそっちだよね。あたしの場合。
こんな感じでけっこうすんなりと弟の言葉を受け入れる美和。どうしても我が家の姉弟に置き換えて考えてみたくなる(笑)。とにかく目標さえ見つかれば突っ走れる青春時代。美和ちゃんどうか夢を叶えてステキな人生を!受験真っ只中のムスメに投影して浸読。大島さんは初読み。心地よい文体で熱くもなくぬるくもなく淡々としてイイ感じ。このクダリも鋭いよな。
年季の入った女たちのおしゃべりの難易度はけっこう高い。どこかに多量の毒を孕みつつ、表面的にはたいして誰も傷つかないですいすい前へ進んでいく。眺めながら、あんなふうにするすると綱渡りみたいに誰かと関係して行くなんて自分には百年経っても無理なんじゃないかと思え、ため息が出そうになった。
綱渡り…まさに。でも「百年経っても無理?」イエイエそんなことはありません。必ずやそんな力が備わりまする…オーホッホッ(笑)。
2007.01.15 Monday | [ア行]大島真寿美 | comments(5) | trackbacks(1)